Warning
この記事は筆者の観測範囲内の現象を考察、まとめたものであり、現象の全体像を捉えきれてない可能性があります。 また公平性にも欠ける可能性が高いです。(特に追ってないメーカー/作品については分からないので)
10年以上前からこの話を歴史としてまとめようと思っていて、Xとかでは何回か語っていたことがあるんだけど、ブログ整備してなくてずっと書けてなかったんですけど、ようやくというかついにまとめたいなと。
革命前夜の状況(00年代)
エロゲ業界
00年代初頭のエロゲ業界においては、巨乳キャラ≒お姉さん 枠というのが定着していて、ヒロイン5人構成なら普通3:巨乳1:貧乳1とかが標準フォーマットになっていました。例えば00年代の業界の王、オーガストのヒット作 「夜明け前より瑠璃色な(あけるり)」(2005年)だと普通2:巨乳1:貧乳3(麻衣含む)というような比率でした。まぁオーガストはオーガストで毎作絶対(人外)ロリ枠を入れると弄られてたので、ちょっとバランスが逆に偏りがちなんですが。今リメイクするならフィーナはD、麻衣もC、さやかと菜月はEかFぐらいまで盛られそう。とまぁ文字ばっかり続くのもアレなので菜月を貼っておきます。
一方で アトリエかぐや 等抜きゲーブランドは普通に巨乳キャラ多めの作品を出していたんですが、業界の中でも独立したグループを形成していて、メインストリームには波及しませんでした。当時を知らない方からはエロゲなのにエロ強化しないの?って感じかと思いますが、当時はKey作品を始めとする泣きゲーブームの残り香がまだ色濃くて、主流はオーガストみたいな王道バランス型でした。
このような背景を元に、当時は普通のゲームに出てくる巨乳キャラはバスト80後半(Eカップぐらいまでで)、90台になると爆乳、抜きゲーに出てくるエロエロキャラっぽさが前に出て世界観やシナリオと喧嘩しだす(≒普通のエロゲに出しづらい)という暗黙の前提がありました。
一般作品
あと一般作品でもお色気バトルモノ、脱衣バトルモノと称すべき作品群が当時既に定着していて、このブームを加速するシナジーを発揮することになります。
- DEAD OR ALIVE(1996年~)
- 一騎当千(2000年~)
- ハイスクールD×D(2008年~)
- 閃乱カグラ(2011年~)
- ストライク・ザ・ブラッド(2011年~)
ストブラは巨乳色薄目ですけどやたらこの一群とコラボしてグループを形成してるので一応リストアップしてます。あとお色気バトルじゃないけど、ToLoveるも何故かこのグループと混じってコラボしまくって仲良いイメージがめっちゃありますねw
クロシェットの巨乳革命(2010年~)
革命前夜
「かみぱに!」(2008年)、「スズノネセブン!」(2009年)で王道系の中堅ブランドと認知されていたクロシェット。制作者が意図していたかどうかは別として、あとから振り返ると巨乳ブームの素地はここで出来ていたことが分かります。例えばかみぱにではヒロインの構成が巨乳3:貧乳2と普通がいないという当時としては振り切った構成ですし。次作のスズノネセブン!は普通2:巨乳1:貧乳1と(3サイズ設定上は)一旦後退した……と見せかけて実はここで 乳袋 の導入が図られています。
この娘、後でもっかい出てくるのでおっぱいのサイズを覚えておいてくださいw
革命の始まり
あまつみそらに
時は2010年。
「あまつみそらに!」(2010年)においてヒロインが 普通1:巨乳3:貧乳1 という構成でブランドファンの中で話題となります。特に衝撃だったのがセンターヒロイン(神奈)が巨乳、さらに妹キャラ(美唯)まで巨乳 だったということです。というのも、
- センターヒロインはメインの話になりがちかつ、作品の顔役なのでどうしても巨乳にはしづらい(作品全体が抜きゲーのイメージになる)
- 妹キャラに関しても当時はまだ「兄妹間の禁断の恋」的なシリアス要素のあるシナリオになりがちだったので、巨乳によるエロさとシリアスが喧嘩するため巨乳にはしづらい
という風潮があったためです。
あと美唯に関しては前述のあけるりの人気ヒロイン、朝霧麻衣 に影響を受けてるのが丸わかりだったので、巨乳版麻衣ということで弄られつつも、新時代の到来を感じさせつつ、無難に一番人気になって作品を引っ張りましたね。
これを書いてて気づいたんですが、 ポップでカジュアルな画風と相まって、抜きゲーっぽくなりすぎず、王道系として認められる可愛さを保ちつつもエッチじゃんってバランスを見つけ出したのが最大の発見 なんじゃないかと思います。
スズノネセブン! 〜Rebirth knot〜
そしてもう一つ、同年に前述のスズノネセブン!の家庭用移植版「スズノネセブン! 〜Rebirth knot〜」が発売されたのですが……
奥の娘(仁乃)はB83で、右側の家庭用版新キャラのトアはB82です。 いやお前らどう見ても巨乳やん。 大分雲行きが怪しくなってきましたね。
右の茶髪ロングの女の人は家庭用版新キャラの真夜(B94)で、左側は前述した柚子里(B82)です。ちょっと待て、どんだけ盛ってんの。
当時、新規追加キャラの描かれ方と既存キャラの設定を無視した盛りを見て、「ああクロシェットは巨乳ブランドとしてブランディングしていくんだな」と感じた覚えがあります。あまつみだけだと、「たまたまちょっと巨乳多いだけかな」と、ブランドの舵を切るのか方向性を読み取れなかったので。
革命成就
あくまでここまでの流れはまだブランドファン内の認知にとどまっており、勢いはありつつもまだ1.5流ブランドみたいな感じの受け止められ方をしていたんですが、次作「カミカゼ☆エクスプローラー!」(2011年)の大ヒットで一流ブランドの仲間入りを果たしました。
メインビジュアルからしておっぱいアピール凄いですね~。15年経って今更気づいたんですが唯一の貧乳キャラにして 一番人気 の沙織先輩、胸元カットされててワロタw
見ただけで分かると思いますが、 巨乳4:貧乳1 という極端な構成で、しかも王道系では禁忌とされていたB90代が2人。当時としては超異色もいい所で振り切りすぎだったんですが、やがてこの構成が業界を席巻することになります。
革命の波及~メインストリームへ(2011年~)
あかべぇそふと系列
もう一つ、巨乳ブームを決定づけた重要作品が、カミカゼとほぼ同時期に発売された「LOVELY x CATION」(2011年)。
唯々月たすくの描く業界トップレベルの美麗なイラストに、(とっくの昔に絶滅したはずの)成長要素ありの恋愛シミュレーションゲーム形式、そしてアペンドを全部含めると普通の純愛ADVの2倍以上あるエッチシーンの数と、当時の他の作品と比べて全方位で強くて、約束されたヒット作、黒船という感じでしたね。予定通り、2010年代の業界の旗手になることを決定づけた大ヒットになるのですが、こちらもカミカゼと同じく、巨乳4:貧乳1という構成でした。
前述の通り、クロシェットに比べて「ヒロインを巨乳にしたから大ヒットした」感はやや薄いんですが、クロシェット以外のブランドで成功した=売れるイラストレーターさえいれば再現できそう、という事実は他のブランドにもかなり影響したんじゃないでしょうか。
てか普通にカミカゼのヒットを受けてフォロワーとして出したのならまだ分かるんだけど、ほぼ同時期の発売なのが凄いですね。当時なんとなくクロシェットの勢いを汲んで便乗したイメージあったけど、あまつみまでの段階でこれがメインストリームになると読んで意思決定したとしたら大したもんですよ。
minori
「ef - a fairy tale of the two.」(2006年)がシャフト制作でアニメ化する等、作りこまれた美麗イラストとシナリオゲーの印象の強いminori。しかし当時、クオリティと売上のバランスが取れずに倒産の危機に瀕していました。そんな中、社運をかけて出したのが「夏空のペルセウス(夏ペル)」(2012年)。
相変わらずのビジュアルレベルの高さに加え、ヒロイン4人全員が巨乳 という特攻構成。プロモーションでも「巨乳村」等と既存のブランドイメージをかなぐり捨てて押しまくる、なりふり構わぬ宣伝の甲斐もあり、起死回生のヒットをもたらします。
ただこの劇薬の副作用も大きく、その後の作品は、ビジネス的に冒険しづらいため、巨乳ヒロインしか出さない/出せない状態となってしまい、なんとな~くマンネリや閉塞感が漂いだし、2019年にソフト制作を終了するという憂き目にあいます。
Purple Software
月杜尋&悠樹真琴コンビで出した「秋色恋華」(2005年)がヒットして以降、安定期(停滞期)に入っていたPurple。フリーの原画家を起用して何本か出すも状況を打開できていませんでしたが、この流れを受け、後にロケットおっぱいで有名となる克を起用し「未来ノスタルジア(ミラノス)」(2011年)を出した所、これが中ヒット。その後に出した 「ハピメア」(2013年) が大ヒットとなり、ここから克をエース原画家としてフル回転させる体制をとり一流ブランドへ駆け上がることになります。
とはいえミラノス~「クロノクロック」(2015年)までは普通サイズのキャラも複数人いたりして、構成については控えめだったんですけどね。巨乳組がロケットおっぱいで作品の売上を引っ張る感じだったので。他ブランドのように巨乳ヒロインに偏った構成になるのは 「アマツツミ」(2016年)まで待つことになります。
Nanawind
巨乳ブームのフォロワーとなって成功したブランドです。革命が広がってから3年後、完全に定着してから出した 「ALIA’s CARNIVAL!」(2014年) では ヒロイン5人全員が巨乳 という布陣を敷き、人気イラストレーターを起用したこともあり、無事にヒットしました。
いやさらっと書いちゃいましたが、無事にヒットするって割とえらいことでね……。このヒットで更にブームが業界に根差していく、どころか安定したノウハウ化、業界文化として溶け込みだした感すらあります。
ゆずソフト
「え?ゆずソフト?そんな巨乳ブーム乗っかってなくない?」と思われるエロゲマーもいるかもしれませんが、実は乗っかってます。 3サイズ設定とかバストカップ設定ないので解釈の余地があるし、アピールもしないけど、出世作となった「DRACU-RIOT!」(2012年)以降、安定して過半数が巨乳キャラなんですよね~。あと普通サイズを意図してるっぽいけど、どう見てもDあるだろ、デカいやんみたいな娘もいるので……。
エロゲ初心者向け、ライトで王道な感じをブランディングしつつ、ビジネス面では堅実さ、したたかさありますからね、あそこ。……画像なしも寂しいので、「千恋*万花」(2016年)のレナでも貼っておきますね。
August
冒頭で出したオーガストですがこの流れにはあまり乗っかっていません。が、業界全体のトレンドに引っ張られた流れが分かりやすいので、こちらも大ヒットした 「大図書館の羊飼い」(2013年)を取り上げておきます。
ヒロインの構成が普通2:巨乳2:貧乳1と巨乳が2枠に増えたことを始めとして、メインヒロインが巨乳、サブキャラも巨乳多め(水結、真帆)、それまでほぼ固定だったロリ枠も撤廃ということもあり、発表当時、「王道の権化のようなオーガストも業界のトレンドには逆らえないんだなぁ」と印象深かったです。
またこの次作 「千の刃濤、桃花染の皇姫」(2016年)では普通1:巨乳3:貧乳1とさらにトレンドに引っ張られることになります。
ラノベ業界によるエロゲ業界人材の積極起用(2010年代前半~半ば)
前述のエロゲ業界での二次元巨乳ブームの隆盛を受けて、MF文庫J を中心としてラノベ業界がエロゲ業界の人材を積極起用する動きを取っていました。まぁ定着したりしなかったりとか色々あったんですけど、この文脈でのヒット作はやはり「冴えない彼女の育てかた」(2012年)、「ようこそ実力至上主義の教室へ」(2015年) でしょうね。前者は巨乳ブームの流れは受けてないと思わせつつ詩羽、出海、美智留とまぁまぁ巨乳多いですし、後者も桔梗、帆波、愛里……とかなり投入してますからね。
この積極起用の流れを通してブームがエロゲ業界からラノベ業界へ伝播したと考えています。
一般作品での定着(=売れるためのノウハウ化)(2010年代後半~)
ここに関しては正直、自分もあまりよく分かってなくて、おそらくユーザーよりラノベ、漫画、アニメ、ゲーム業界の人じゃないと分からないと思います。
ただはっきりしているのは
- 作品のプロデュース側が完全に売れるためのノウハウとして意識しだした
- イラストレーター側もSNSを通じたバズの傾向を受けて迎合/適応した
というのがこの時期に起きたことだと思います。あとラノベ、漫画、アニメ、ゲームを織り交ぜた大規模なメディアミックス自体は2000年代から行われてましたが、2010年代になるとその頻度と速度が上がって、お互いの業界の距離が縮まって影響を与えあうようになったのも大きいかなと感じます。
ラノベを始めとする一般作品への波及で分かりにくいのが、エロゲ業界のように巨乳推しだけで大ヒットした作品がないにも関わらず、手堅くヒットや安定した売り上げを上げていて、水面下でビジネス的な影響力を増していたからという認識です。
多分 こう売上を上げたいタイミングで(水着の)巨乳美少女を投入するソシャゲが増えたとか、そこらへんの影響が大きいんじゃないか と思ってはいますが……アズールレーン(2017年)は結構影響力あったのかな。中ヒットという印象が強いですが、キャラを巨乳/貧乳の二派に分けて普通はほとんどいないっていう、エロゲ発祥の極端な構成を広めたのはここですよね。初期ホロライブまで繋がってると思うんですけど。
あとプロデュース側にとっては、ここにきて最初に触れたお色気バトル系の存在も大きかったんじゃないですかね。どれも硬い岩盤層がいて安定した売り上げ/勢いの印象がありますし。やっぱりビジネスとして意識せざるを得ないので。
こういう流れがある中で、二次元巨乳ブームが一般(の美少女多め作品)層を制圧した象徴が「五等分の花嫁」(2017年)と考えています。
この作品にまつわる有名なポストに
というのがありますが、 これが編集に通った ことが業界への浸透ぶりを示しているかなと。これが売れなかったら、たまたまマイナーなマガジンのちょっとした試みということで、他へ波及しなかったんでしょうけど、大ヒット飛ばしたわけでね……
Vtuberのデザインへの波及(2010年代終盤~)
2010年代後半に巨乳ブームが一般作品へと一気に流入した後、その流れを現在まで引き継いでリードしているのがVtuberのデザインだと思っています。多すぎて具体的に挙げないですけど、にじさんじの初期の女性ライバーは「アピールしてないけど実はデカい」設定の人がかなり多いし、ホロライブは男性向けなのでもっと露骨に巨乳/貧乳枠で分けて巨乳多めという構成ですよね。
ここらへんは分かりやすすぎて語ることも少ないので、ホロライブの巨乳組の代表(諸説ある)のちょこ先と団長でも貼っておきます。
ブームの今後
牽引しているのがVtuberデザインであるという話をしましたが、それをリードするにじさんじ、ホロライブの双方とも一般層を狙いに行く上で支障になると感じたのか、にじさんじは2020年の セレじょ の段階で脱却、ホロライブだと DEV_ISメンバーはかなり抑え目になった という動きがありました。……が、見事に両方とも新人女性ライバーの売り込みに苦戦してるので、もっかい揺り戻しが来るかもしれないな、という気もします。
あとあくまでVtuberかつその頂点の2事務所のプロデュースの傾向の話なので、これが他所のジャンルまで波及するかというと、かなり怪しいのかなと思っています。















